痛み

足の痛み 〜足部疾患の原因と対処法〜

足の痛みや不調の原因には様々な理由が考えられます。何かしらの病気やケガの影響、歩き方の問題、姿勢からの影響などです。ここでは比較的多くみられる症例である足首の捻挫足根管症候群足根洞症候群外反母趾扁平足開帳足、モートン病、浮き指、足底腱膜炎、踵骨棘について 紹介したいと思います。

  • 直接痛みの原因になるもの:外反母趾、捻挫、足根管症候群、足根洞症候群、モートン病、足底腱膜炎
  • 放っておくと痛みや不調につながるもの:外反母趾、扁平足、開帳足、浮き指
  • シビレを引き起こすもの:外反母趾、モートン病、足根管症候群 


外反母趾

外反母趾とは、何らかの原因で足の親指が小指の方に向いてしまう状態を指したものです。ハイヒールや革靴を履いていて親指の付け根が痛くなったり、擦れて赤みが出るという方、またはシビれたように感じたことがある方は、今は変形がなくとも外反母趾予備軍の可能性があります。

原因

一番多いのはハイヒールやパンプスなどの先が細くなった靴の履きすぎによるものですが、それだけではありません。実はサンダルや足先のゆったりした大きすぎる靴を履くことでも外反母趾になる可能性があるのです。

靴というものは本来、足を支えるものですが、日本人は家の中で靴を脱ぐので、自分の足に合っているものよりも脱ぎ履きのしやすい履き物を好みます。しかし、その弊害は大きく足が広がりすぎることで様々な足のトラブルを引き起こします。靴を選ぶときに足の長さを気にされる方は多くいますが、足の幅まで意識して選ぶ方は非常に少なく感じます。また、足に体重がかかっている状態とかかっていない状態の足の大きさの違いを意識しておかないと、歩いているときに靴の中で足が動いて靴ずれの原因になることもあります。

このような状態が長く続くと、足の裏の筋肉が弱ってしまって、骨を正しい位置に止めることが出来なくなります。加えて足の骨と骨を結ぶ靭帯が伸びてしまうとさらに状態が悪くなります。筋肉はトレーニングをすることで鍛えることが出来ますが、伸びてしまった靭帯が縮まるまではテーピングなどの固定をしながら長い時間がかかります。 

外反母趾の検査

外反母趾かどうかを見極めるには、親指と中足骨といわれる骨の角度が重要になっています。正確には医療機関でレントゲンを撮る必要がありますが、当院ではフットプリントや実際に足に角度計を当てることで判断しています。正常であれば角度が9〜14°であり、15°以上になると外反母趾とされます。さらに、15〜19°までのものを軽度、20〜39°までのものを中度、40°以上のものを重度と分類します。 

症状

親指の付け根の発赤や痛み、親指のシビレ、親指の裏側のタコなどです。その他にも扁平足や他の指のシビレを伴うこともあります。 

対処法

自分で出来る対処法として、下腿部のストレッチ、足底部のマッサージ、テーピングなどの固定法を紹介したいと思います。 

すねの筋肉のストレッチ①

椅子に座って伸ばす足をあぐらをかくように曲げて反対側の太ももの上に乗せます。片方の手で足首を支えて、もう片方の手で足の指を反らすように伸ばしましょう。親指と他の4本の指に分けて行います。20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。

すねの筋肉のストレッチ②

椅子に座って伸ばす足をあぐらをかくように曲げて反対側の太ももの上に乗せます。片方の手で足首を支えて、もう片方の手で足の指を丸めて持ち、足の裏が天井の方を向くように小指の方を引っ張り上げます。20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。

 

足の裏のストレッチとマッサージ

足を伸ばして座り(椅子でも良い)、伸ばす方の膝は曲げず、反対側の足のかかとが股に着くように曲げます。足の裏を自分に向けて片方の手で踵を持ち、もう片方の手で指を反らせましょう。この状態を20〜30秒続けるとストレッチになります。また、このまま親指の腹で踵からつま先に向かって足裏を擦ると足底筋のマッサージにもなります。

当院での対応例

  • テーピング:扁平足の原因になっている骨の位置異常を改善し、足のアーチをサポートします。
  • インソール作成:足のサイズ測定とフットプリント採取を行って足の状態を把握し、靴と足に合わせて既成のインソールに加工を加えてみたり、完全なオーダーメイドインソールを作成します。
  • EMS弱ってしまった足の筋肉を鍛えるために電気刺激によるトレーニングを行います。

自分で巻けるテーピング

①用意するもの
幅が2.5cmの伸縮性のテーピングとハサミ 

②手順
テーピングを足の大きさに合わせて15〜20cmにカットします。次にテーピングの端から5cmほどを二股にカットします。二股に裂いたところを親指の根元に合わせて貼り付けます。二股に裂いたテープで親指を包んで引っ張り、土踏まずに沿って踵まで伸ばします。 

タオルを使ったトレーニング

足の筋肉を鍛えるトレーニングとして良く目にするのがタオルギャザーというトレーニングです。やり方はとても簡単で、椅子に座って足の下にタオルを伸ばして置き、足の指でたぐり寄せる方法です。これにより足の指を曲げる筋肉が使えるようになって様々な足の症状の予防にもつながります。 慣れてくればタオルの端に重りを乗せると負荷が上がります。

扁平足と開帳足

扁平足とは、足の土踏まずの部分がつぶれてしまった状態のことを指します。この土踏まずは、アーチといわれ、アーチには内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチという3つのアーチがあります。この中で縦アーチがつぶれたものを扁平足、横アーチがつぶれたものを開帳足(かいちょうそく)といいます。 

原因

扁平足の原因は、近年の車の普及率やデスクワーク等の増加により日常生活での歩く時間の減少、労働時間の長時間化による運動不足などで足底部の筋肉が衰えることにあります。また、近年では子どものフットケアと称してたくさんのケア用品が販売されていますが、幼少期にはまだ足底アーチは形成されていないので、6歳から10歳頃まではしっかりと歩いたり走ったりして足の指の筋肉をしっかり鍛えることが大切です。

症状

扁平足自体はよほど激しいスポーツをしない限り、痛みの原因にはなりにくいですが、扁平足が引き金となって起こるものとして、外反母趾や足底筋膜炎、足首周辺の痛みやアキレス腱炎、有痛性外脛骨のような骨が変形するも のもあります。ですから、自分が扁平足かなと思った時には早めに対処をして他の症状を引き起こさないようにしましょう。また、横アーチがつぶれてしまった開帳足では、自分で神経を踏みつけてしまって足の指にシビレを感じることもあります。これはモートン病という病名がついています。 

対処法

自分で出来る対処法として、下腿部のストレッチ、足底部のマッサージ、テーピングなどの固定法を紹介したいと思います。 

ふくらはぎのストレッチ

足を開いて座り、伸ばす方の膝は曲げずに反対側の足の踵が股に着くように曲げます。伸ばす方のつま先にタオルを引っ掛けてつま先を外側に倒し、タオルを自分に向かって引っ張ってみましょう。次につま先を内側に倒して同様に行うと、違う筋肉が伸びるのでそれぞれ20〜30秒ほどゆっ くりと行い、しっかり伸ばしましょう。 

すねの筋肉のストレッチ

椅子に座って伸ばす足をあぐらをかくように曲げて反対側の太ももの上に乗 せます。片方の手で足首を支えて、もう片方の手で足の指を反らすように伸ばしま しょう。親指と他の4本の指に分けて行います。20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。

足の裏のストレッチとマッサージ

足を伸ばして座り(椅子でも良い)、伸ばす方の膝は曲げず、反対側の足のかかとが股に着くように曲げます。足の裏を自分に向けて片方の手で踵を持ち、もう片方の手で指を反らせましょう。この状態を20〜30秒続けるとストレッチになりま す。また、このまま親指の腹で踵からつま先に向かって足裏を擦ると足底筋のマッサージにもなります。 

当院での対応例

  • テーピング:扁平足の原因になっている骨の位置異常を改善し、足のアーチをサポートします。
  • インソール作成:足のサイズ測定とフットプリント採取を行って足の状態を把握し、靴と足に合わせて既成のインソールに加工を加え てみたり、完全なオーダーメイドインソールを作成します。
  • EMS弱ってしまった足の筋肉を鍛えるために電気刺激によるトレーニングを行います。 

自分で巻けるテーピング(扁平足)

①用意するもの
幅が5cmの伸縮性のテーピングとハサミ

②手順
テーピングを10cmにカットします。同様に3枚用意します。次にテーピングの真ん中の台紙に指で切れ目を入れます。土踏まずの真ん中にテープを当てて両橋を引っ張って土踏まずを持ち上げるように貼ります。このテープに1/3〜1/2程度つま先の方に、同様に踵の方にずらして貼ります。 

自分で巻けるテーピング(開帳足)

①用意するもの
幅が5cmの伸縮性のテーピングとハサミ

②手順
テーピングを20cmにカットします。同様に3枚用意します。次に1枚のテーピングの四隅を丸くカットします。角を落としたテープを足の裏の指の付け根からかかとまで引っ張りながら貼ります。残りのうち1枚のテープを土踏まずよりやや踵側で足の裏を持ち上げるように貼り付けます。もう1枚は足の甲側から親指と小指が近づくように貼ります。 

 

ゴルフボールによる足裏のマッサージ

椅子に座って足の裏にゴルフボールなどの小さな球を置きます。足を動かしてボールをコロコロと転がしましょう。足の裏からボールが離れないように注意しながら行います。つま先に近いところ、土踏まずの真ん中、かかとに近いところで前後左右右回転左回転を5回ずつ行います。慣れてくれば少し体重をかけて行いましょう。 


足底腱膜炎(足底筋膜炎、踵骨棘)

足底腱膜はかかとの骨から足の指の付け根にかけて張る腱状の膜のことをいいます。いわゆる土踏まずに沿って張り、歩行やジャンプなどにより足にかかる力を分散するのに役立ちます。しかし、繰り返しのジャンプ動作やランニングにより足底腱膜が引き伸ばされることで微小な亀裂が入って炎症を起こします。これが足底腱膜炎です。ひどい場合にはかかとの骨が引っ張られて変形し、棘のようなもの(踵骨棘)が出来ることもあります。中年以降の女性に多く発生します。

症状

長時間の立ち仕事や歩行時にかかとや土踏まずに痛みを感じます。踵骨棘ができている場合は寝起きや長時間のデスクワークの後の動き出しに痛みを感じることもあります。

対処法

痛みが出ている時は無理をせず足を休ませてあげましょう。痛みが強くないからと無理をすると痛みが強くなるのはもちろん、治りも悪くなります。休んでいる間に足首周りや足の裏の筋肉を鍛えて足底腱膜の負担を軽減してあげましょう。ここではストレッチやマッサージ、自分で出来るテーピングについて紹介したいと思います。 

足の裏のストレッチとマッサージ

足を伸ばして座り(椅子でも良い)、伸ばす方の膝は曲げず、反対側の足のかかとが股に着くように曲げます。足の裏を自分に向けて片方の手で踵を持ち、もう片方の手で指を反らせましょう。この状態を20〜30秒続けるとストレッチになります。また、このまま親指の腹でかかとからつま先に向かって足裏を擦ると足底筋のマッサージにもなります。 

自分で巻けるテーピング

①用意するもの
幅が5cmの伸縮性のテーピングとハサミ
②手順
テーピングを20cmにカットします。同様に2枚用意します。次に1枚のテーピングの四隅を丸くカットします。角を落としたテープを足の裏の指の付け根からかかとまで引っ張りながら貼り、もう1枚のテープを土踏まずよりややかかと側で足の裏を持ち上げるように貼り付けます。

足根管症候群 

足の内くるぶしと踵の骨の間にはたくさんの筋肉の腱が通ります。これらをまとめるようにくるぶしと踵に屋根のように張るものを屈筋支帯といいます。骨と屈筋支帯の間の空間のことを足根管とよび、筋肉とともに神経や血管が通ります。その時にガングリオンという脂肪の塊や変形した骨などで神経が圧迫を受けて起こる症状を足根管症候群といいます。

症状

内くるぶしの下の辺りの痛みやしびれ、違和感などを訴えます。最初は内くるぶしの辺りだけだった症状が足の裏や足の指に広がっていきます。内くるぶしの下を指でトントンと叩くとつま先までピリッとした痛みやしびれが広がります。 

対処法

初期では足首に負担をかけるようなランニングや長時間の立ち仕事などは避けましょう。しびれが強い時は軽く歩いたり足首の運動をすると落ち着く場合があります。ここでは自分で出来るストレッチやマッサージなどを紹介したいと思います。

すねの筋肉のストレッチ


椅子に座って伸ばす足をあぐらをかくように曲げて反対側の太ももの上に乗せます。片方の手で足首を支えて、もう片方の手で足の指を反らすように伸ばしましょう。親指と他の4本の指に分けて行います。20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。

足根洞症候群(足関節捻挫後遺症) 

足根洞とは、足首の骨と踵の骨の間にある空間のことで、外くるぶしのやや前方にある窪みのことをいいます。周辺には多くの靭帯があり、足根洞の中には神経や関節を覆う膜などがあります。足首の捻挫をした時に周辺にある靭帯が傷ついて出血しますが、その際に適切な対処がされずに血液が足根洞の中に溜まってしまうと、周辺の靭帯や滑膜に炎症が波及して、後に痛みを引き起こす原因になります。このような足関節捻挫の後に感じる足首周辺の痛みを足根洞症候群といいます。

症状

体重をかけた時や歩行時に足首の外側で違和感や痛みを感じます。軽い場合ではジャンプをして着地をした時や走っている時などの足首にかかる力が強い時に痛みを感じるくらいで、日常生活には支障がありません。少し強い症状では階段を降りるときや下り坂を歩く時、河原や山道などのでこぼこ道を歩く時に不安定感や痛み、違和感を感じます。さらに強くなると足の裏や甲に痛みやしびれを感じるようになります。骨の異常ではないのでレントゲンでは確定出来ないこともあり、はっきりとどこが痛いのかを表現するのも難しい重だるいような鈍い痛みを感じます。

対処法

捻挫をして痛みや腫れが引いた後にサポーターやテーピングによる固定を続けることが大切です。そこで足首を不安定なままで放置してしまうと足根洞症候群のような後遺症に繋がります。足根洞症候群になった場合も足首の不安定感を解消するテーピングやサポーターを利用すると症状が和らぐ場合が多いので、ここでは簡単なテーピングと足首のトレーニングを紹介したいと思います。

自分で巻けるテーピング

①用意するもの
幅が5cmの伸縮性のテーピングとハサミ
②手順

テーピングを80cmにカットします。外くるぶしの上から巻き始めて足首を内に向かって一周させます。
その後に内くるぶしの上から足首の前側にテープを下ろしていき、足の裏に向かって踵の少し前を通るように貼り、外くるぶしの前を通って足首の前でバッテンができるように8の字に巻き付けます。余ったテープは足首に巻き付けます。

自分でできるトレーニング

市販のゴムバンドを使った方法になります。ゴムバンドの真ん中辺りを机の足や家の柱に巻き付けます。自分は椅子などに座って、ゴムバンドを弱っている方の足の甲にくくりつけます。この時、ゴムに少しテンションがかかるように長さを調整してください。
準備ができたら足の甲を自分に向かって引き上げるように運動をします。
最初の内は10〜20回くらいから始めて、慣れてくると少しだるさを感じる程度の回数まで増やしましょう。

当院での対応例

  • 距骨調整:ひどい捻挫や繰り返しの捻挫の場合、距骨がずれていることがあるので、正しい位置に調整します。
  • インソール作成:足のサイズ測定とフットプリント採取を行って足の状態を把握し、靴と足に合わせて既成のインソールに加工を加えてみたり、完全なオーダーメイドインソールを作成します。捻挫を起こしにくいように作成します。
  • 超音波療法:超音波の温熱作用によって瘢痕組織を緩める効果を期待します。
  • ハイボルテージ療法:特殊な波形の電気刺激で神経の興奮を抑えます。

 

TOP
LINEでお手軽相談! LINEでお手軽相談!