日常的に肩こりや腰痛、頭痛や不眠などの体の不調に悩まされていませんか?それらの症状は姿勢の異常によって引き起こされているかもしれません。一言で姿勢の異常といっても様々なタイプがあり、原因となる部位も一か所とは限りません。
ここでは、ストレートネック、猫背・反り腰、骨盤のゆがみ、膝のゆがみ(O脚・X脚)、を中心に原因、対処法などを詳しく説明していきます。気になる症状があれば、ぜひ読んでみてください。
次のように感じたことはありませんか?
スマホをみていると首がだるく、痛くなってくる |
パソコン続きで目の疲れが取れない |
たまに頭痛や吐き気が起こる |
指が冷たい感じや痺れた感じがする |
もしかするとこれらの不調は“ストレートネック”によるものかもしれません。
ストレートネックとは
正常な首では首の骨が前に向かって曲がって並んでいます。しかし、ストレートネックではその首の曲がりがなくなって文字通り骨が真っすぐに並んだ状態になっています。ひどい場合には猫背のように後ろに曲がる場合もあります。
正常 |
ストレートネック |
逆転 |
ストレートネックの方が骨が真っすぐ並んでいるので良いのではないの?と思われるかもしれませんが、そうではありません。なぜなら成人の頭の重さは4〜6㎏程度といわれており、首のカーブはその重さを分散させるのに大切な役割を果たしているからです。
多くの方は自分には関係ないと思われていますが、パソコンやスマートホンでの作業が多くなった現代では、自分では気が付かないうちに“ストレートネック”になっている場合があります。
原因
ストレートネックになる原因は首を曲げた姿勢を長くとることです。
パソコンやスマホの操作はもちろん、大工や配管工、料理人など、うつむいて作業をすることが多い方に起こりやすく、高すぎる枕や趣味の読書など、首を曲げた姿勢を長時間続けることで、首に大きな負担をかけている方は要注意です。実際に、頭が前に15°傾くと、首にかかる重さは12㎏、60°傾くと27㎏もの重さを首で支えなければなりません。(ケニス・ハンスラジュ)
そして、見落とされがちですが、交通事故によって引き起こされたむちうちもストレートネックの原因となるので、しっかりと治療しておきましょう。
検査法
自分がストレートネックになっているか確認できる簡単な検査法をお教えします。
壁を背に立って、身体を壁にぴたっとくっつけます。この時に正常であれば、かかと、おしり、肩甲骨、頭の4点が壁につくはずです。しかし、ストレートネックの疑いがある方は頭が壁から離れてしまいます。
普通に立っていると頭が離れるけど、頭を壁にくっつけようとしたら着いたので大丈夫だと思った方は、ストレートネック予備軍の可能性もあるので、良かったらセルフケアもお試しください。
対処法
自分がストレートネックかもしれないと思われた方に自分でできる対処法をお教えします。
長時間うつむいた姿勢を取ることを避けましょう。
具体的にはスマートホンを操作するときはなるべく顔の正面にスマートホンがあるように腕を上げましょう。また、パソコンでもデスクやイスの高さを調整してディスプレイが顔の正面にあるようにすると自然と首も起き上がります。加えて、30分から1時間に一回は首をゆっくり起こしてリラックスさせることを心がけましょう。
高すぎる枕は使わないようにしましょう。
仰向けで寝る場合に枕が高すぎると首の後ろの筋肉がずっと伸ばされた状態になり、縮む力が弱まってしまいます。仰向けで寝るときは自分の両手を重ねたくらいの高さ、横向きで寝るときは肩幅に合った高さの枕を使用して頭が垂れないように心がけましょう。
首の周りの筋肉のマッサージやストレッチ、トレーニングをしてあげましょう。
うつむいた作業が増えると、首の前の筋肉がずっと緊張していて硬くなってしまいます。さらに、首の後ろの筋肉はずっと伸ばされていて縮む力が弱っているのためしっかりと収縮させることが予防につながります。
では、実際にやっていってみましょう。
まず、首の状態を確認するためにゆっくりと上を向き、首の後ろの筋肉がしっかり縮んでいるか触ってみましょう。このとき、途中で強い痛みや首や腕にシビレを感じた場合は、軽く首のマッサージをするくらいにしてストレッチやトレーニングは行わないで下さい。
それでは、首周りの筋肉のマッサージをしていきます。
今回ターゲットにするのは、頭と首をつなぐ後頭下筋群と胸鎖乳突筋です。指をまっすぐ伸ばして人差し指と中指のお腹で耳の後ろにある出っ張りを探します。これが胸鎖乳突筋が頭に着くところです。出っ張りがわかったら指を少し下に移動させて下さい。ぷにぷにとした感触があると思います。それが胸鎖乳突筋です。その場所で心地よい程度から痛気持ちいい程度に筋肉を圧迫して後ろ回しに指を回します。5回ほど回すと筋肉に沿って指を下にずらし同様に行います。3〜4か所行って鎖骨にぶつかる辺りでマッサージを終了します。
次に、耳の後ろの出っ張りから後頭骨に沿って首の中心に向かって指をずらすと、指がすぽっと収まるくぼみがあると思います。その場所で圧迫を加えながら内回しに指を回します。5回ほど回したら指をずらしていき、2〜3カ所行うと終了です。
続いて、胸鎖乳突筋のストレッチを行います。ここでは右側を例に説明します。まず、椅子などに座り、右手は腰の後ろに回しておきます。左手の中指が右耳の前にくるように頭を持ち、首を左に回して左斜め後ろに反らすように左手で引きます。この状態で20〜30秒ゆっくりストレッチを行います。左側も同じように行い、左右ともに2〜3セット行います。
最後はトレーニングです。
首を後ろに引く作用のある筋肉のトレーニングを行います。始めに、頭の後ろで両手を組んで、手を頭で押すように力をいれる運動です。反対におでこを手で押さえると首の前側の筋肉のトレーニングになります。ゆっくりと力を入れて頭と手で10秒押し合います。この動作を3回繰り返しましょう。
次に、両肩をすくめる運動です。両肩をすくめるように力をいれて肩を上げ、ゆっくりとおろします。この動作を10回繰り返します。慣れてくれば水を入れたペットボトルやダンベルを持って行いましょう。
最後に、タオルを頭の後ろに引っ掛けて後頭下筋群のトレーニングを行います。
タオルを後頭部に引っ掛けて、上に引っ張るようにしてゆっくりと上を向きます。この時に上を向くのに抵抗がかかるようにタオルの位置を調整します。この動作を10回繰り返して、タオルで首を牽引して終わりです。
背骨のゆがみ
次のように感じたことはありませんか?
特に何もしていないのに首や肩がこっている、だるく感じる |
事務作業や運転をしていると、背中や腰が痛くなってくる |
しっかり寝ても身体の疲れが取れにくい |
指が冷たい感じや痺れた感じがする |
もしかするとこれらの不調は“背骨のゆがみ”によるものかもしれません。
背骨のゆがみといっても様々なゆがみがあります。ここでは、いわゆる“猫背”、“フラットバック”、“スウェイバック”、“反り腰”、“側わん”について紹介していきたいと思います。
猫背タイプ
不良姿勢の代表である猫背タイプです。このタイプは背骨の中で特に背中、もっと言えば肩甲骨の間くらいがうしろに飛び出しているタイプです。このタイプでは、僧帽筋の上部線維や大胸筋、小胸筋が硬くなりやすく、背中が丸まっていつも伸ばされているので、脊柱起立筋や広背筋、大円筋、菱形筋などの筋力が低下しやすい傾向がみられます。いわゆるストレートネックなどの原因にもなり得るので、猫背が長く続くと自律神経のバランスが崩れて、不眠や疲労を感じやすくなることも考えられます。
原因
多くは仕事関係のことが多いです。例えば、デスクワークの多い方や重いものを持つことの多い方、普段から運動をしていない方、その他、日常的にうつむいた作業が多くなりがちな方に多くみられます。
対処法
1番大事なことは、長時間の同一姿勢を避けることです。例えば、デスクワークの間で少し立つ習慣をつけたり、運転手の方はこまめにトイレ休憩を取るなどです。中々仕事の面で気を付けることが難しいかと思うので、いくつかのストレッチとトレーニングを紹介したいと思います。
まずは僧帽筋と胸筋のストレッチを紹介します。
僧帽筋のストレッチ
椅子などに座り、右手は腰の後ろに回します。左手の中指が右耳の上にくるように頭を保持しましょう。そのまま首を左に傾けるように左手で引っ張ります。左側も同様に行って20〜30秒ゆっくり伸ばしましょう。
大胸筋のストレッチ
伸ばしたい方を壁や柱に向けて一歩分ほど離れます。この時、足は肩幅に開いておきましょう。肘を直角に曲げて手の平を顔の高さくらいで壁などに引っ掛けます。その状態から腕と反対側に身体を回しましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
次に、トレーニングでは背中の筋肉を鍛える方法を紹介します。
スーパーマンフライ
背中と腰の筋肉を鍛えるトレーニングです。まず、うつ伏せになり両手と両足を伸ばします。その状態から両手と両足を床から浮かしてみましょう。勢いをつけて行うと腰や背中を痛めることがあるので、ゆっくり自分のできる範囲で行いましょう。最初は10回くらいから始めて、慣れてくると20、30と増やしてみましょう。
チェストオープナー
胸を開いて背中の動きをなめらかにするトレーニングです。まず四つん這いになって片方の手を頭の後ろに置きます。その状態から肘を上に挙げて胸を開くようにしてみましょう。この時、背骨が回転している感じと肩甲骨が背骨に近づいていくのを感じてみてください。左右ともに10〜20回行いましょう。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
フラットバックタイプ(平背)
この姿勢はあまり聞きなれないかもしれませんが、近年増えてきつつあるタイプです。このタイプは背骨の適度なカーブがなく真っすぐに近くなった状態です。いわゆる猫背と反対に背中の盛り上がりが少なくなっているタイプです。大胸筋や小胸筋、おしりや太ももの筋肉が硬くなりやすく、脊柱起立筋や股関節を曲げる筋肉の力が低下しやすい傾向がみられます。また、骨盤の正常な傾きも崩れていることが多く、脊柱の根元である仙骨の部分や股関節の異常を訴える方もいます。
対処法
このようなタイプの方が自分で出来る対処法としてはデスクワークや運転時に深めにイスに座って骨盤の3点固定を意識することが大切です。しかし、限られた空間の中で気を付けることが難しい方が多いと思うので、いくつかのストレッチとトレーニングを紹介したいと思います。
まずはストレッチから、大胸筋と大殿筋のストレッチを紹介します。
大胸筋のストレッチ
伸ばしたい方を壁や柱に向けて一歩分ほど離れます。この時、足は肩幅に開いておきましょう。肘を120°ほどに曲げて手の平を頭より高く上げて壁などに引っ掛けます。その状態から腕と反対側に身体を回しましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
大殿筋のストレッチ
仰向けに寝て伸ばしたい側の膝を両手で抱えて反対側の肩に近づけるように引っ張り上げます。反対側の足はまっすぐ伸ばしたままで曲がらないように注意しましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
次に、トレーニングでは背中や股関節の筋肉を鍛える方法を紹介します。
キャットアンドドッグ
平坦になってしまった背骨にカーブを取り戻すトレーニングです。まず、四つん這いになって首を反らせながら胸を落として背中も反らすようにします。次にゆっくりと背中を丸めて背中の丸みを作りましょう。この時、出来るだけ肘が曲がらないように肩が動かないようにして肩甲骨が動いていることを感じてみてください。それぞれ5〜10回行いましょう。
フロントクランチ
股関節を曲げる筋肉のトレーニングです。まず足を伸ばして座り、両手を身体の後ろに置いて支えます。その状態で両膝を曲げて胸に近づけるように足を上げましょう。次に足を上げたままゆっくりと膝を伸ばしていきます。この時、足が床に着いてしまったり膝が伸び切らないように注意しましょう。初めのうちは曲げ伸ばしを3〜5回から始めて慣れてくるに従って10、20と回数を増やしていきましょう。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
スウェイバックタイプ
この姿勢はあまり聞き慣れないかもしれませんが、近年よく見かける姿勢です。ボクサーが相手のパンチを避ける時の格好のように、上半身が下半身より後ろにあるタイプです。
上半身と下半身が連動して動きにくくなるので歩幅が狭くなったり身体のバランスを取るのが苦手になることもあります。いわゆる巻き型につながることもあり、小胸筋に緊張が感じられやすいです。背中や腰、お尻の筋肉は反対に緩んで筋力が低下していることが多いタイプです。
原因
座り仕事が多い方で、椅子に座るときに足を伸ばして肩を背もたれにちょこんとつけて座るクセがあったり、骨盤を支える体幹筋が弱っていると発生しやすいです。
対処法
このようなタイプの方が自分で出来る対処法としては椅子に座ったり立ったりしているときにしっかりと下腹部やお尻に力を入れて、上半身が下半身の上に乗るようにすることを心がけましょう。ここでは役に立つストレッチとトレーニングを紹介したいと思います。
まずはストレッチから大胸筋と小胸筋のストレッチを紹介したいと思います。
大胸筋のストレッチ
壁に向かって1歩分離れて立ち、体を曲げて両手を壁につけます。その状態からさらにゆっくりと体を曲げていってストレッチを行います。20〜30秒かけてゆっくりと伸ばしましょう。
小胸筋のストレッチ
壁を背にして1歩分離れてたち、両手を後ろに伸ばして壁につけます。その状態からゆっくりと膝を曲げていってストレッチを行います。20〜30秒かけてゆっくりと伸ばしましょう。
次に、トレーニングでは下腹部筋の強化と上半身との連動性を高めるものを紹介したいと思います。
レッグリフトローリング
仰向けで寝て膝と股関節を90°に曲げて足を上げます。その状態をスタート位置として足を浮かせたまま左右に膝を倒します。この時に膝が床に付かないように注意しましょう。初めは左右5回ずつから始めて、慣れてくると10、20と回数を増やしていきましょう。
ニータッチエルボー
仰向けで寝て、両手を組んで頭の後ろに置きます。どちらかの膝を胸に近づけるように足を持ち上げて、状態を起こしながら足と反対の肘で膝にタッチするようにしましょう。初めは左右5回ずつから始めて、慣れてくると10、20と回数を増やしていきましょう。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
反り腰タイプ
この姿勢は文字通り腰が反りすぎている姿勢を指します。このタイプでは腰が沿ってお腹が前に出やすくなっているので、腹筋が弱くなりやすく、それほど体重もないのにぽっこりお腹に見えやすくなります。お腹周りの筋肉が弱くなる一方、腰の筋肉や股関節を曲げる筋肉が硬くなりやすいタイプです。日頃から腰痛を感じたり、股関節の違和感を訴える方に多く見受けられます。
原因
多いものは、ハイヒールを履いて営業に回る方、低いところから重たいものを持ち上げることの多い運送業や建設関係の方、はたまた妊婦さんにも多くみられます。
対処法
このようなタイプの方が自分で出来る対処法としてはなるべく低めのヒールを履いたり、インソールやコルセットなどの補助具を使用することです。しかし、自分にあったものをみつけるのが難しいと思うので、いくつかのストレッチとトレーニングを紹介したいと思います。
まずはストレッチから、脊柱起立筋と股関節を曲げる筋群のストレッチを紹介します。
脊柱起立筋のストレッチ
椅子に座って足を組みます。組んだ足と反対側の手で組んでない足のつま先を触れるように体を曲げましょう。伸びが少なく感じる場合はつま先より遠くの床を触れるようにしてみましょう。足を組み替えて左右ともに20〜30秒ゆっくりと伸ばしましょう。
大腰筋のストレッチ
伸ばしたい方の膝を直角に曲げて膝立ちをして反対側の足は前に出します。前方に体重をかけて、膝がやや外に開くようにし、両手は股の付け根に置いてバランスを取りましょう。伸びが感じられるまで体重を移動しましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
トレーニングではお腹やお尻の筋肉を鍛える方法を紹介します。
レッグリフトペルビックカール
仰向けで寝て両手を少し開きます。その状態で両足をなるべく高く上げたところをスタート位置として腰が浮くくらいまでお尻を上げましょう。この時、手でバランスを取っても構いません。初めは5回から始めて、慣れてくると10、20と回数を増やしていきましょう。
レッグリフトバック
うつ伏せで寝て、左右の足を伸ばしたまま交互に持ち上げます。左右交互に10回ずつ行いましょう。この時に腰がそらないようにお腹にしっかりと力を入れておいてください。慣れてくると両足同時に浮かしてみましょう。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
側わんタイプ
この姿勢はここまでのように横から見てわかる異常ではなく、前や後ろから見て異常がわかるタイプです。本来であれば真っすぐに並んだ背骨が横に曲がっているタイプです。曲がりが小さいものはそれほど気にされない方もいますが、まがりが大きくなると背中や腰、肩などに痛みを感じたり、呼吸がしにくく感じたりする方もいます。
また、このタイプは何かしらの疾患や骨の異常によって引き起こされる構造性側わんと、ぎっくり腰などの痛みや筋肉のアンバランスによって引き起こされる機能性側わんに分けられます。前者では外科的な手術や矯正用の装具が必要になることが多いですが、後者ではマッサージやストレッチ、トレーニングなどを利用することで改善することが期待できます。
側わんタイプでは、ウエストの左右非対称やバストの大きさが左右で違ったりすることもあるので、女性の方が気にしやすいタイプになります。
原因
構造性の側わんでは疾患や骨の異常が原因になるので、専門的な医療機関での検査が必要になります。機能性の側わんでは、いつも同じ方の肩にバッグをかけたり、重いものを担いだりすることや、足を組んで座るクセなどの日常的な習慣であったり、ぎっくり腰や肋骨骨折などの痛みに伴うものが原因として多くみられます。
検査法と対処法
簡単に出来る検査法として、身体を前に曲げたときに側わんが消失または緩くなるかを見る方法があります。家族や友達に協力してもらっても良いですし、少し難しいかもしれませんが、鏡を使って自分でチェックすることも可能でしょう。もし、前かがみになっても側わんの状態が変わらなかったり、むしろ悪化した場合は、速めに専門の医療機関を受診してレントゲンなどの検査をしてもらいましょう。
側わんが小さかったり、機能性の側わんだと思った方は次に紹介する対処法を実践してみてください。
大事な事は、なるべく足を組むクセをやめたり、かばんを持つ腕を変えてみたりすることです。しかし、それでは変化を感じにくい方も多いと思うので、自分で出来るエクササイズを紹介したいと思います。
背骨が大きく曲がっているほうと反対に身体を曲げると動かしにくく感じると思うので、その方向へのエクササイズを多めに行いましょう。
肋骨ストレッチ
側わんでは、背骨の中でも胸椎という背中の部分での曲がりが大きくなります。胸椎は肋骨と繋がっているので、肋骨のゆがみにも直結します。そのため、このエクササイズを取り入れましょう。
まず、椅子などに座り、伸ばしたい側の手を頭の後ろに回しましょう。次に肘を上げていってワキが伸びるのを感じましょう。その状態で5〜6回ゆっくり深呼吸を行なってみましょう。左右ともに行い、慣れてくるとしにくい方を多めに行いましょう。
背伸びストレッチ
背中から腰までの筋肉を同時に伸ばしていくエクササイズです。
まず、肩幅くらいに足を開いて立ち、片方の腕を頭の上に挙げます。次に反対側の手は下げたままで床に向かってさらに下げようとします。この運動を左右交互に10回くらい行いましょう。慣れてくるとしにくい方を多めに行いましょう。
振り返りストレッチ
首から骨盤まで続く筋肉の連動性を高めるエクササイズです。
まず四つん這いになって左右どちらかを振り返るようにします。この時に骨盤がつられて動こうとしてくるので動かないように耐えてみてください。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
骨盤のゆがみ
次のように感じたことはありませんか?
日常的に腰がだるい感じがする、寝起きに腰が痛む |
足を組んで座っていることが多い |
短い距離を歩いても疲れてしまう。 |
足の疲れが取れにくいし、なんだかむくんでいる |
もしかするとこれらの不調は“骨盤のゆがみ”によるものかもしれません。骨盤のゆがみといっても様々なゆがみがあります。ここでは、いわゆる“前傾と後傾”、“側屈”、“ねじれ”、“開閉”について紹介していきたいと思います。
骨盤は背骨の根元に当たります。そのためにゆがみが起きると背骨や足にも影響を及ぼします。例えば、骨盤の前への傾きが大きくなれば反り腰になりますし、後ろへの傾きが大きくなれば猫背やフラットバックの原因となります。側屈していると機能性側弯の原因となりますし、開閉に異常があれば足への影響が考えられます。このように骨盤のゆがみは身体に大きな影響を及ぼします。また、どれか1つだけのゆがみではなく、前傾と捻れや、捻れと側屈などのように複合していることが多いです。
原因
骨盤がゆがむ原因は、非常に多く考えられます。例えば足を組んだりあぐらを組んで座ることが多い方、長年の腰痛や昔のケガなどに付随するもの、スポーツや普段の身体の使い方による筋肉のアンバランスなどです。そこで、タイプ別にどんな状態になるのかをみていきましょう。
正常な状態
いうまでも無いですが、正常な骨盤では、左右の高さは揃っていますし、捻れやズレもみられません。しかし、男女で少し違いがあります。まず、骨盤は女性の方が男性よりも広がりやすくなっています。これは妊娠や出産に備えられた身体の構造上、仕方の無いことです。そのため、妊娠後はさらに開いてしまった骨盤を閉じるように促すことで腰痛や下腹部太りなどを予防することが期待できます。
②前傾・後傾タイプ
骨盤は正常な状態でもやや前傾(立つともいわれる)していますが、前傾が強くなりすぎると反り腰や腰痛に繋がりやすいです。反対に後傾(寝るともいわれる)してしまうと、猫背の状態になります。このように骨盤のゆがみは姿勢の異常と直結するのです。前傾や後傾も原因となるのは筋肉のアンバランスはもちろん、後傾では座り方との関係性が深いです。
③傾きタイプ
前から見た時に正常であれば骨盤は真っ直ぐになっています。しかし、筋肉のアンバランスや何かしらのケガ、骨格のゆがみなどがあると左右どちらかが高くなってしまうことがあります。普段の生活で原因となりやすいのはいわゆる流れ足で座ることです。このタイプは背骨の側わんにつながることもあるので早急に対応をしましょう。
④捻れタイプ
膝を組むクセのある方や、ゴルフや野球などの同じ方向に体を捻る方に多く見られます。仰向けで寝ていてどちらかのお尻が床から浮いていたり、立っていても左右どちらかが前に突き出したようになっています。
対処法
骨盤のゆがみが気になるときに有効なエクササイズを紹介していきたいと思います。自分がどのゆがみがあるのか判断できない場合はお近くの整骨院や鍼灸院などで相談してみてください。多くの場合は1つのタイプではなく混合していることが多いので全てのゆがみに共通して行えるものを中心に説明していきたいと思います。
ヒップロール
仰向けになって膝を90°くらいに曲げます。両膝をゆっくりと左右に倒す動作を繰り返しましょう。骨盤が回っているのを感じてみてください。左右ともに10回ずつ行なってみましょう。
ヒップジョイントローリング
仰向けになって膝を90°くらいに曲げます。両膝の間を拳3つ分くらい開けて、両膝をゆっくりと左右に倒す動作を繰り返しましょう。股関節が回っているのを感じてみてください。左右ともに10回ずつ行なってみましょう。
フロントプランク
うつ伏せになって肘を立てて身体を床から持ち上げます。この時、お腹が下がったりお尻が上がったりしすぎずに足から体幹がしっかりと真っすぐに保てるように注意してください。ポジションが取れてから10秒キープしてみましょう。慣れてくると20〜30秒とキープする時間を増やしていきましょう。また、腕立て伏せのようの肘を伸ばすと強度が上がります。
サイドプランク
横向きになって肘を立てて身体を床から持ち上げます。この時、お尻が下がったり上がったりしすぎずに足から体幹がしっかりと真っすぐに保てるように注意してください。ポジションが取れてから10秒キープしてみましょう。慣れてくると20〜30秒とキープする時間を増やしていきましょう。
ショルダーブリッジ
仰向けになって手を広げてお尻を床から持ち上げます。この時、お腹が上がったりお尻が下がったりしすぎずにふとももから体幹がしっかりと真っすぐに保てるように注意してください。ポジションが取れてから10秒キープしてみましょう。慣れてくると20〜30秒とキープする時間を増やしていきましょう。
ワンレッグキックバック
四つん這いになって、片方の膝を曲げて脚を上に蹴り上げる運動です。
この時、腰が反りすぎたり背中が丸まらないように身体を真っすぐに保ち、お尻に力を入れて股関節だけを動かすように意識してみてください。左右ともに10回ずつ行いましょう。慣れてくると15〜20と回数を増やしていきましょう。
ワンレッグキックサイド
四つん這いになって、片方の膝を曲げて脚を上に蹴り上げる運動です。この時、腰が反りすぎたり背中が丸まらないように身体を真っすぐに保ち、お尻に力を入れて股関節だけを動かすように意識してみてください。左右ともに10回ずつ行いましょう。慣れてくると15〜20と回数を増やしていきましょう。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。
膝のゆがみ
次のように感じたことはありませんか?
坂道や階段を歩いていると膝に痛みを感じることが多くなった |
短い時間の歩行でも膝が痛くなったり疲れて筋肉痛になる |
靴底の減り方がおかしく感じる |
足の疲れが取れにくいし、なんだかむくんでいる |
もしかするとこれらの不調は“膝のゆがみ”によるものかもしれません。膝の変形としてO脚やX脚といわれるものが有名です。
ここではO脚とX脚について説明していきたいと思います。
正常な状態であれば、足を閉じて立った時に、正常であれば内もも、膝、ふくらはぎ、内くるぶしがひっついていることが理想です。しかし、いわゆるO脚では膝がひっつかない状態で、ひどくなると内ももやふくらはぎもひっつかなくなります。X脚では膝や内ももはひっつきますが、内くるぶしがひっつかない状態になります。
原因
膝のゆがみの原因は、日常生活やスポーツによる歩き方や走り方のクセ、バランスの悪い筋肉の付き方により、股関節や膝関節、足首などのねじれが発生しているからです。例えば、腰痛や股関節痛があって歩き方がおかしくなっていたり、足を組むクセや悪い姿勢、外反母趾や扁平足の影響で発生することもあります。
検査法
自分でできる検査ですが、先にも述べたように足をまっすぐにして鏡の前に立ってみましょう。この時に、内もも(股関節に近いあたり)、膝、ふくらはぎ(膝に近いあたり)、内くるぶしの4点がひっついているか確認しましょう。
もし内くるぶしはひっつくけど膝はひっつかないという方はO脚(膝の隙間に指3本)、膝はくっつくけど内くるぶしはひっつかないという方はX脚、内もも、膝、内くるぶしはひっつくけど、ふくらはぎだけどうしてもひっつかないという方はO脚とX脚が混在しているかもしれません。
対処法
では、O脚やX脚の解消にはお尻や股関節、太ももの筋肉の改善が必要になるので、その辺りの自分でできるストレッチやトレーニングを紹介していきたいと思います。
大殿筋のストレッチ
仰向けに寝て伸ばしたい側の膝を両手で抱えて反対側の肩に近づけるように引っ張り上げます。反対側の足はまっすぐ伸ばしたままで曲がらないように注意しましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
中殿筋のストレッチ
仰向けに寝て右足をあぐらをかくようにして挙げ、左手で踵をつかみます。そのまま左足を曲げて膝で右の足首を支えるようにし、両手で左足の太ももを掴んで身体にひきつけるように引っ張りましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
股関節の捻れを取るストレッチ
うつ伏せになって顔を右に向けます。足は閉じておいて、右足の膝を曲げて右手で足を掴んで、地面に近づけるように足を外に開きましょう。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。足をやや開いて同様に行うと伸びるところが変わります。
太ももの前側のストレッチ
足を伸ばして床に座り、伸ばしたい方の膝を立てて内側に倒す(女の子座りのように)。このまま上向きに寝るようにすると太ももの前の外側が伸びます。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。足を太ももに敷き込むように行うと伸びるところが変わります。
太ももの裏側のストレッチ①
足を伸ばして座り、伸ばす方の膝は曲げず、反対側の足のかかとが股に着くように曲げてみましょう。伸ばす方のつま先を内側に倒して、両手を伸ばし、足の外側に向かって身体を曲げます。伸ばす方の膝を軽く曲げるとふとももの裏をしっかり伸ばせます。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
太ももの裏側のストレッチ②
足を開いて座り、伸ばす方の膝は曲げず、反対側の足のかかとが股に着くように曲げてみましょう。伸ばす方のつま先を外側に倒して、両手を伸ばし、真っすぐ前へ身体を曲げます。伸ばす方の膝を軽く曲げるとふとももの裏をしっかり伸ばせます。左右ともに20〜30秒かけてゆっくり伸ばしましょう。
次にトレーニングの紹介をします。
ショルダーブリッジ
仰向けになって手を広げてお尻を床から持ち上げます。この時、お腹が上がったりお尻が下がったりしすぎずにふとももから体幹がしっかりと真っすぐに保てるように注意してください。ポジションが取れてから10秒キープしてみましょう。慣れてくると20〜30秒とキープする時間を増やしていきましょう。
サイドシザース
横向きになって軽く上体を起こし、上側の足を開くように上に挙げましょう。このとき、足が身体の真横に挙がるように注意しながら行ってください。片方が終わると反対側も同様に行いましょう。左右ともに10回程度行ってください。
インナーサイ
横向きになって軽く状態を起こし、上側の足を前に移動して下側の足を上に挙げましょう。このとき、足が身体の真横に挙がるように注意しながら行ってください。片方が終わると反対側も同様に行いましょう。左右ともに10回程度行ってください。
セルフケアはこれで終了です。いかがだったでしょうか?少しでも効果が感じられると毎日時間のある時に続けてみてください。セルフケアの途中で痛みを感じたり、きつすぎるエクササイズは無理に行わないでください。