美容の悩み

美容のお悩み

日常生活を送っていて、特に感じやすい美容のお悩みについてまとめていきたいと思います。皮膚の解剖学や働き、しみ、しわ、ニキビ、くすみ、たるみなどの代表的なものをなぜ出来るのか、またどう対処したら良いのかを述べていきます。

 

皮膚の構造

皮膚は人体の表面を覆い、外界から体内を守る役割をしている組織です。大きく分けて表皮、真皮、皮下組織の3層に分類出来ます。一般的に表皮と真皮で2-4mmほどの厚みがあるとされ、中でも表皮は0.2mmほどしか無いとされています。この0.2mmしかない表皮はさらに、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分けられ、それぞれ特別な機能が与えらています。真皮も乳頭層と網状層に分かれています。ここからそれぞれの層について詳しく述べていきます。

 

①角質層

角質層は皮膚の最も表面にある層で、10〜20層程の扁平な細胞が集まって出来ています。先に表皮の厚さは0.2mmと述べましたが、角質層はさらに薄く0.002mmともいわれます。角質層の細胞はアポトーシスをする瞬間に細胞間脂質(セラミドなど)を細胞外に放出して細胞同士の間を埋めて水分を維持して乾燥を防ぎます。さらに細胞内にはアミノ酸を主成分とする天然保湿成分(NMF)が存在することで肌表面の水分量を20%程度に保つという人類にとって非常に大切な働きをしています。この水分量が10%以下になると皮膚は乾燥状態になり、外界からの攻撃を受けやすい状況になります。角質層の細胞は下から押し上げられて最後は蛋白質分解酵素によって分解され、アカとなって剥がれ落ちます。

 

②顆粒層

この層は2〜3層からなる薄い層で、角質細胞になる準備をするために細胞内にケラトヒアリンといわれるタンパク質の顆粒や繊維が増えて細胞は硬く扁平になっていきます。また、天然保湿成分(NMF)や細胞間脂質などの潤いのもとになるものが細胞内に蓄えられます。細胞の変性が始まり、ガラス質の物質となっているために紫外線を屈折させて防ぐという働きもあります。

 

③有棘層

表皮の中で一番分厚い層で、基底層で生み出された細胞が多角形の細胞となって5〜10層並んでいます。この層の特徴は免疫を司る受容器を多数持つランゲルハンス細胞が存在することで、外部から侵入してきた細胞やウイルス、化学物質や紫外線などの刺激を脳へ伝えるセンサーの役割を果たすことです。また、この層で細胞からDNAとミトコンドリアが抜けるコルネオトーシスという反応が起きているとされます。

 

④基底層

表皮の最深にある層で、縦長の基底細胞が1層に並んでいます。角質産生細胞と皮膚色素を作り出すメラニン細胞(メラノサイト)が存在する層で、20日程度かけて細胞を分裂させて新しい細胞を産み続けています。そのために基底層にダメージがありメラノサイトが過剰に働くとシミの原因となり、細胞が変形して押し上げられるとシワの原因にもなる。近年は基底層には形状記憶機能があるといわれており洗顔の際に強く擦りすぎたり、肌がよじれるようなことをするとシワが出来やすいといわれています。そのためになるべく肌を擦らないようにしっかり泡立てた泡を介して肌を洗い、水で洗い流す際はゴシゴシと落とさず水を顔にバシャバシャとかけて洗顔料を落としましょう。

 

⑤乳頭層

真皮には血管や神経が存在するので、毛細血管のある血管乳頭と知覚神経の終末である神経乳頭があり、マイスネル小体という知覚を司る組織があります。

 

⑥網状層

真皮の70%はコラーゲン線維といわれており、網状層では90%がコラーゲン線維であるといわれます。コラーゲン線維が網目状の構造を作り、エラスチンという弾性線維がコラーゲン線維を繋ぎ止めることで真皮は非常に弾力に富んだ構造となっています。エラスチン線維は真皮の1〜2%しかありませんが肌のハリには非常に重要な役割を持っており、減少することでシワやたるみが発生するといわれます。

コラーゲン線維とエラスチン線維の間には基質といわれるヒアルロン酸などのゲル状物質が存在して真皮の弾力性を高めています。これらの成分は加齢とともに減少して真皮が薄くなってしまうことでシワの原因となります。コラーゲン線維は加齢に加えてストレスや紫外線でも減少するので注意が必要であり、生成や維持にはビタミンCが関与するとされています。

⑦皮下組織

皮下組織は脂肪細胞と疎性結合組織からなりますが、ほとんどがいわゆる皮下脂肪です、そのために一般に脂肪組織ともいわれます。一番大きな役割は身体のエネルギーを生み出す栄養素を貯蔵することですが、他にも体温の維持や体を衝撃から守るといった役割もあります。

 

皮膚の働き

 

①保護作用

ここまで述べたように特に角質層でのバリア機能はとても優秀でほとんどの物質を通しません。しかし紫外線は比較的透過してしまうので注意が必要です

 

②体温調節作用

皮膚はそれぞれの細胞がしっかりと結合することで熱を通しにくい性質があります。そのために暑さや寒さから体を守ることが出来、体温が上がった時には皮膚表面の毛細血管を開いて汗を出し、体温を下げる働きがあります。反対に体温が下がった時には立毛筋を収縮させて体温の放出を防ぎます

 

③物質交換作用

皮脂腺や汗腺を通して皮脂や汗と一緒に塩分やアンモニアなどの排泄を行い、わずかではありますが空気中から酸素を吸収して二酸化炭素を放出するという呼吸に似た働きもしています

 

④知覚作用

皮膚には様々な神経の終末が分布して触覚、痛覚、温覚、冷覚、圧覚、振動覚などを脳に伝えます。皮膚1cm2には温点が1〜2個、冷点が12個、触点が25個、痛点が100個ほど分布しています。

 

⑤免疫作用

特にマクロファージの一種であるランゲルハンス細胞の存在する有棘層の働きが大きく、サイトカインを放出して体を守っています

 

ターンオーバー

皮膚は細胞が層状に並んで構成されており、基底層での細胞産生によって古い細胞から順に押し出されていきます。このために皮膚は常に新しい細胞となり大事なバリア機能を維持出来るのです。細胞は基底層で20日程かかって生み出され、一層一層押し上げられて14日ほどで角質層に至ります。その後、14日かけてアカやフケとして体から剥がれ落ちます。このメカニズムをターンオーバーとよんでいます。

ターンオーバーは20代ではほぼ教科書通りの28日ですが、40代では50日程度、60代ではさらに長いといわれています。ですから年齢ともに傷跡が治りにくかったり吹き出物が中々治らなかったりするのです。

 

シミのメカニズム

皮膚にいつの間にか出来ている茶色や黒色の斑点。一般に「シミ」とよばれるものですよね。
ではこの「シミ」いくつかの種類に分けられるのはご存知ですか?それぞれの「シミ」の出来方や薄くするために推奨されている方法を簡単にまとめていきたいと思います。

①日光性黒子(老人性色素斑)

このタイプのシミが最も一般的ないわゆる日焼けによって出来るものです。老若男女問わずに発生し、気になるシミのほとんどがこのタイプです。頬骨の高くなっているところから頬に広がる直径1mmから数cmの丸い茶色っぽいのが特徴で顔だけではなく体にも出来るのが特徴的です。

原因

原因はなんといっても紫外線で、繰り返し浴び続けることで表皮の基底層にあるメラノサイトが刺激されてメラニン色素の産生が促進され、ターンオーバーの乱れと共に表皮に定着することです。正常なターンオーバーでは基底層で生成されたメラニン色素は細胞が押し上げられると同時に皮膚表面へ進み、角質として剥がれ落ちます。

しかし、基底層が紫外線によってダメージを受けていたり、何らかの刺激によってメラノサイトがメラニン色素を過剰に産生してしまうことでメラニン色素が細胞に溜まってしまうことがあり、これがシミが濃くなる原因です。一因として角質層の肥厚なども考えられます。

 

予防

何と言っても普段から日焼け止めを持ち歩いてこまめに塗り直して紫外線を遮ること、メラノサイトがメラニン色素を産生するのを防ぐ化粧品を利用して新しいシミが出来ないように予防することが重要です。一方で日焼け止めを塗っているからと油断せずに日傘や帽子を使用して直射日光を避けたり、紫外線カットの効果がある衣服を着用してみたりすることも忘れないで頂きたいです。

 

対処法

変性してしまった表皮を元に戻すには化粧品だけでは難しく、レーザーや鍼治療などの外部からの刺激で皮膚を作り直すように働きかけるしかありません。

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